映画「万引き家族」は2018年公開の是枝裕和監督の作品です。
第42回日本アカデミー賞、最優秀作品賞を獲得。
最優秀監督賞も受賞しており、発表の際、前年度の最優秀監督賞も是枝監督だったため自分を発表したのを覚えています。
何個もの賞を獲得した作品。
一体どのような内容なのでしょうか??
映画『万引き家族』 感想
第42回日本アカデミー賞「作品賞」受賞作品。
家族の本当の絆が描かれた複雑も心温まる作品です。
東京の下町で暮らす一家。
見た目は普通の家族だけれど、実は家族の大半が不正や犯罪に手を染めているとんでもない一家。
しかも、全ての人間が血縁関係にないといったかなり複雑な家族です。
とんでもなく複雑な家族だけれど、本当の家族よりも強く硬い絆で結ばれています。
しかし、そんな家族もある出来事から一緒に暮らせなくなり最後はバラバラになってしまう、そんな物語です。
作品を見ていて、どんな形で終わるのかなと先の展開を気にしていましたが、あっさり予想通りに終わり、しかも簡単に終わってしまいました。
それぞれの人物の過去にいろんな出来事があるので、その辺を詳しく描いてくれたらもっと良かったんじゃないかなって思いました。
もちろん、最後の安藤サクラさん演じる信代が「子供達に何て呼ばれていたの?」という問いかけに答えられず涙を流すシーンはかなり深い意味があり、この作品の集大成で素晴らしいシーンなんだと思います。
しかし最後が普通に終わってしまい、少し呆気なさすぎのような気がしました。
万引き家族 サウンドトラック
動画配信サービスの評価
(4.1)
配信されている動画サイト
オススメ!
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動画は予告なく配信終了することがあります。
あらすじ紹介(ネタバレあり)
柴田治(リリー・フランキー)

リリー・フランキー(公式サイト引用)
柴田家の大黒柱?と言う位置付けだが、家族がいるのに定職にはつかず日雇いの仕事をしています。
しかも、「今日は行きたくねぇな。休んじゃおうかな」なんてやる気もありません。
そして、息子の祥太と一緒に万引きや置き引きを繰り返すとんでもない父親です。
過去には嫁の信代の元夫を殺害して埋めたとういとんでもない経歴を持っていて、初江の息子という位置付けではありますが、本当の息子ではなく初江の家に住み込んでいます。
年老いた初江の面倒を見てやっているという気でいるようですが、目的は年金。
こんなとんでもない人物ですが、息子の祥太には父親以上の接し方をしているように見えました。
祥太が家に帰ってこない時には、居場所を予想して突き止め親らしい言葉をかけたり、みんなで海に行った時には亜紀の胸を見ていたことに気づき、「おっぱい好きか?」
「男はみんな好きなんだ。朝、おっきくなってるだろう?」
「なんでわかるの!?」
「全然おかしい事じゃないんだ。健康なんだ」
「病気かと思った。安心した」
こんな会話をしています。
親だってなかなかこう言った話しはできませんが、本当の親じゃないからと言ってしまえばそれまでですが、でも親として接していこうとする治の姿は印象的でした。
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柴田信代(安藤サクラ)

安藤サクラ(公式サイト引用)
柴田家の母親的存在。
クリーニング店でまじめに働いてはいるものの、衣類に入っていた物を盗むなど小さな犯罪を繰り返します。
じゅりが家に来た時はすぐに返せと否定的でしたが、虐待を受けていると知ると誘拐でないと言いながらじゅりを受け入れます。
じゅりとお風呂に入っているシーンで自らも虐待を受けていたことを話しています。
物語を見た感じですと、信代の前の夫からDVを受けていたようです。
それで治と信代は前の夫を殺して埋めたと言う過去を持っています。
家族以上の繋がりがある事に喜びを感じているようですが、最後に警察に「子供達からなんて呼ばれてるの?」と言う問いかけに答えられず、実際にも呼ばれていない事から、悔しさと、悲しさで涙があるれてくる。
絆があったかのように思っていた自分の哀れさに崩れ落ちるこのシーンは、作品の中で1番印象に残るシーンでした。
柴田亜紀(松岡菜優)

松岡菜優(公式サイト引用)
信代の妹と言う位置付け。
唯一柴田家では犯罪に手を染めていませんが、風俗店で働いています。
おばあちゃんの初枝にはかなり懐いています。
実は亜紀は初枝の元旦那の再婚した相手の娘。
どうやら家出をしたようで初枝が引き取りこの家で暮らすようになったようです。
物語の後半では初枝は亡くなってしまうのですが、その時に家族の中で1人だけ非常に落ち込んでいました。
この家で住めなくなった後も誰もいなくなった家に来て中を眺めているシーンがありました。
亜紀にとって大切な居場所だったのでしょう。
初枝が亡くなった時に死体を埋めたり、初枝の貯めていたお金を治と信代が嬉しそうにあさっている時に、何か言い返すようなシーンがあっても良かったかなと思いました。
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柴田祥太(城桧吏((じょうかいり)))

城桧吏(公式サイト引用)
治の息子と言う位置付け。
治と一緒に万引きしたり、学校は勉強のできない奴が通うところと教えられ学校に通っていません。
じゅりが柴田家に来てからいつも一緒にいます。
本当のお兄ちゃんのようですが、教えてあげられるのが万引きというのが切ないですね。
じゅりが来るまでは治と2人でやっていた万引きでしたが、じゅりが来てから3人でやるようになりました。
じゅりが邪魔だと、じゅりに嫉妬するシーンがあるところを見ると治をかなり慕っているのがわかる反面、治をお父さんと呼べない何か少年の気持ちは複雑なのでしょう。
そして次第に万引きしている事に違和感を覚える。
そんな気持ちの変化がよくとって見える人物でした。
祥太は治と信代がパチンコ屋で車内に置き去りにされてる所を連れ出したようです。
なので親の顔はわからないし、自分の本当の名前もわからない状態です。
しかし、最後に信代が祥太のいた車の詳細を教えました。
探す気になれば探せると。
何年もの間、車の詳細を覚えていたという事は、信代もいつかこの日が来るのを覚悟していたのかもしれません。
ゆり(佐々木みゆ)

佐々木みゆ(公式サイト引用)
治と祥太が万引きをした帰り道、寒空の中玄関前のバルコニーにいるのを見つけます。
連れて帰ってご飯を食べさせますが、体には傷の後。
転んだとしか言いません。
すぐ返そうと見つけた場所に戻ると、家の中から男の怒鳴り声が。
状況を悟った治と信代は娘として迎えます。
祥太の後をちょこちょこ付いていく姿が印象的です。
誘拐まがいの事をしているので、テレビでも話題に上がってしまい、髪を切り名前もりんと名乗り過ごしますが、最後は結局、虐待する親の元に返されます。
初めて出会った時のようにバルコニーに出されているゆりは何かを待つような視線を遠くに向けます。
柴田初枝(樹木希林)

樹木希林(公式サイト引用)
柴田家の持ち主。
世間からは1人で過ごしているという事になっています。
パチンコ屋で隣の人の玉を盗んだり、前の夫の息子の所に行き慰謝料とそうしてお金を巻き上げたりと老体の割には悪い事をしています。
人物的にはみんなを見守るおばーちゃんです。
ふわちょもばーちゃんと暮らしていたのですが、それを思い出されるような感覚になります。
やはり樹木希林さんの存在感が物凄くて、なんでもない演技一つ一つにすごさが伝わってくるようです。
まとめ
作品はもちろんまだまだ見所はたくさんあります。
クライマックスはあっけなく終わってしまいますが、1人1人の表情や仕草に何か訴えるものがあるのだと思います。
最後のそれぞれのシーンに注目して作品をご覧になって観てください。