作品あらすじ紹介
ある日突然、崇史(玉森裕太)が迷い込んでしまった2つの世界。
1つの世界は、愛する麻由子(吉岡里帆)と自分が恋人同士。
しかし、もう1つの世界では麻由子が親友の智彦(染谷将太)の恋人に…。
混乱する崇史の前に現れる、2つの世界をつなぐ【謎】の暗号。
目が覚めるたびに変わる世界で、真実にたどり着けるのか?
スタッフ
- 原作:東野圭吾「パラレルワールド・ラブストーリー」(講談社文庫)
- 監督:森義隆
- 脚本:一雫ライオン
- 音楽:安川午朗
主題歌:宇多田ヒカル「嫉妬されるべき人生」
出演者
- 敦賀崇史:玉森裕太(Kis-My-Ft2)
- 三輪智彦:染谷将太
- 津野麻由子:吉岡里帆
- 小山内譲 : 筒井道隆
- 桐山景子 : 美村里江
- 篠崎伍郎 : 清水尋也
- 柳瀬礼央 : 水間ロン
- 岡田夏江 : 石田ニコル
- 須藤隆明 : 田口トモロヲ
感想(若干ネタバレあり)
テレビでよく宣伝を目にして、ずっと気になっていた映画「パラレルワールドラブストーリー」を観て来ました。
交錯する2つの世界で、1人の女性が自分の恋人だったり親友の恋人だったりを繰り返し、混乱していく主人公・・・どちらが本物の世界なのか!?というざっくりした宣伝で、かなりキャッチーでした。
実際に映画を観て、2つの世界とは一体何なのか、2人の男性の恋人である女性は本当はどちらの恋人なのか、という謎が明らかになる様を目の当たりにしてきました。
原作は東野圭吾さんの小説ですが、原作は読まずに映画だけ楽しみました。
原作パラレルワールドストーリー
<電車の窓越しの淡い恋>
映画は、山手線と京浜東北線が同じホームに向かって到着するシーンから始まるのですが、片方の電車には崇史(玉森裕太)という男性、そして片方の電車には麻由子(吉岡里帆)という女性が乗っていて、崇史はいつも同じ電車の同じ場所に立っている麻由子に密かに恋心を抱いていました。

玉森裕太

吉岡里帆
まだ名前も知らない2人でしたが、ある時崇史はひとつの賭けにでます。
いつも麻由子が乗っている電車に乗る事にしたのです。
しかし、麻由子は探しても見つかりません。
いつもいるはずの場所にも立っておらず、崇史は必死に辺りを探しました。
ふと目を上げた崇史の目に飛び込んできたのは、向かいの電車(いつも崇史が乗っている電車)で誰かを探しているような麻由子の姿でした。
崇史にとっては、いつも使っていた電車に乗る最後の日だったので、この日麻由子に出会えなかった事で、淡い恋に終止符を打つ事にしました。
この冒頭のシーンは印象的でした。
実際、電車に乗って通学、通勤していると、言葉を交わした事もない、名前も知らない人と顔見知りになる事がありますよね。いつも同じ場所にいる人がいないと「あれ、どうしたんだろう」と思ったり、恋心まではいかずとも「ちょっとかっこいいな」と思ってみたり、小さなドラマが沢山生まれるのが電車という不思議な閉鎖空間なのかもしれません。
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<親友に紹介された彼女が・・・>
崇史には、智彦(染谷将太)という親友がいるのですが、ある日智彦に紹介された「初めての彼女」が、あの電車で毎日のように見ていた女性、麻由子だったという衝撃的な出来事が起こります。

染谷将太
しかも麻由子は崇史を見て何を言うでもなく「はじめまして」と初対面を装ったのです。
自分が密かに恋心を抱いていた女性で、しかもおそらくその女性も自分に何らかの特別な感情を抱いていたかもしれない、と思っていた人にこんな態度を取られたら多少なりショックを受けるかもしれません。
崇史も、何か言おうとしましたが、智彦がいる手前何も言い出せず、麻由子と崇史は初対面として再会する事になりました。
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<目覚めたら崇史と麻由子は恋人関係に・・・>
冒頭の電車のシーンから、智彦が麻由子を崇史に紹介するシーンになり、その次のシーンには、崇史と麻由子は恋人同士として同棲している風景が映し出されます。
ここで観客は初めてこの映画のパラレルワールドに迷い込むわけですが、予告編では「親友の彼女として麻由子を紹介するシーン」の麻由子が髪が長く、「崇史の彼女として」の麻由子は髪が短かったので、そういう違いで描き分けをしているのかな、と思っていました。
しかし映画では、麻由子の髪が長かったのは彼女として紹介したシーンだけで、基本的に麻由子は同じルックスだったので、今がどちらの世界なのか理解するのに意外と苦戦しました。
「目覚める度に世界が変わる」という謳い文句もありましたが、実際は「眠って目覚めて」というシーン切り替えではなかったので、その辺も少し分かりづらかったのかもしれません。
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<麻由子が自分の恋人なのか、親友の恋人なのか分からなくなっていく崇史>
交錯する2つの世界、という意味では、崇史と麻由子が恋人で、智彦はアメリカにいるという設定の世界と、智彦と麻由子が恋人で、崇史も同じ職場で働いているという世界と、その双方がくるくる変わっていきます。
しかし映画中盤あたりから、「麻由子が自分の恋人」状態の崇史が「麻由子は智彦の彼女」という記憶を思い出しつつあるように描かれはじめます。
こうして交錯する2つの世界というよりも、むしろ交錯する崇史の記憶と混乱、という視点に映画が移行していくのです。
そして麻由子が自分の恋人なのか、智彦の恋人なのか、分からなくなっていく崇史。
果たしてどちらが真実なのか、なぜ「交錯する2つの世界」というパラレルワールド状態が崇史の記憶の中に生み出されたのか、その結末は映画館で是非ご覧ください。
108分という短い時間にまとめるには複雑すぎるストーリーだったようにも思いましたが、逆に原作を読んでみたいと強く思える作品でした。